ブラック施設を面接で見抜く方法

働くうえで、好んでブラック施設に飛び込みたいという人はまずいません。
ですが近年は人手不足が深刻化しており、どこも人手を確保するため、表面上を取り繕うのがうまくなっています。
大っぴらなブラック施設は減り、いざ入職してみたらブラックだった、という経験をした人も多いでしょう。
一方で、人によっては少し大変なだけでもすぐに「ブラックだ」とする人もいます。

しかし裏を返せば、人手不足な介護業界は、求職者にとって選び放題でもあります。
つまり面接時に「ここはブラックだ、ここには入りたくない」と悟ることができれば、その施設を避ければ良いのです。

この記事では、特に注意すべきブラック施設を面接の時点で避けられるよう、面接の心構えや面接官の言葉の裏を詳しく解説します。
実際の体験談からまとめてみましたので、なるべく平穏に転職したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

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(仮)

ただ受けるだけではない!面接の心構え

世間では、「面接に受かるため」のノウハウが多く出回っていますが、ご存知の通り介護業界は万年人手不足です。
ある程度の経験があれば内定は確実なので、極端に言ってしまえば「受かるためのコツ」は考えなくても良く、媚びを売る必要もありません。
介護の面接は「受かるため」ではなく、施設を「自分が選ぶ」ためのものでもあるのです。
介護の面接を受けるうえで、「自分が選ぶため」の心構えがあります。

ネットのクチコミは参考程度に覗いておく

近年多く見られる転職サイトなどには、その施設や会社の体験談が載っています。
ネットの書き込みは主観によるものが大きく、実際に自分が見てみるまで判断できないので、すべてを真に受けることはありません。
ですが、クチコミに不平不満が多く見られるということは、それだけ改善が見られないのではと推測することはできます。

特に、有名な匿名掲示板のスレッドなどが出てきたら、要注意の可能性があります。
よほどの不満がない限り、匿名掲示板のスレッドなどわざわざ立てられません。

面接はその施設や会社の印象を、入社前に直接見るためのものである

面接はその施設や会社の人間がおこなうため、入社前に印象を知る唯一のチャンスです。
会社の人間として高圧的な物言いが無いか、業務や職員に対する考え方はどうかなど、できる限り意識して会話を聞きます。
施設長が面接をおこなっているのであれば、自分の上司となる人を知る絶好のチャンスです。

人手不足を解消するため、面接官は聞こえの良い言葉を選んで話します。
わかりやすくマイナスイメージをひけらかしてはくれませんので、遠回しな言葉の裏を常に探りながら聞いておきます。

質問をすることによって、悪印象となることはない

繰り返しになりますが、介護業界は基本的に人手不足であり、よほど問題のありそうな人でなければぜひ入職してほしいと考えています。
求職者から質問をされても、まっとうな所であれば聞かれてやましいこともなく、「面倒そうだから落とそう」ということはほぼありません。
ですから、安心して自分が聞きたいと思っていることを質問してください。

悪口や愚痴を混ぜず、聞きたいことを簡潔に質問する

いくら人手不足で受かりやすいとはいえ、自分が勤めていた施設の愚痴や文句を長々と盛り込むのはNGです。
例えブラックでなくても、この点に関してだけは共通して悪印象を持たれてしまいます。
どうしても悪い部分を話すときは、「ちょっと悪口になってしまうのですが…」と前置きをして、なるべく批判するような表現は避けてください。

自分が聞きたいことだけを簡潔に質問することで、「この人はちゃんと考えを持っており、施設側も選ばれているのだ」という印象を持ってもらうことができます。
ただしブラック施設はこの限りではありませんので、質問しただけで落とされるようであれば、こちらから願い下げのつもりでいても大丈夫です。

注意して聞きたい面接官のNGワード

面接官は、マイナスイメージをなるべく遠回しに表現して話します。
事前に言っておいた、という免罪符が必要なので、隠しておくわけにはいかないのです。
面接官の話を丁寧に聞きながら、その言葉の裏を探ってみましょう。

人がいないということをやたらと押してくる

介護業界に人がいないのは周知の事実です。
それをあえて、上司や事務も現場に出なきゃならなくて、など念押ししてくる場合があります。

わかりきっていることを念押ししてくるということは、とっくに現場の人員は崩壊しかかっている可能性があります。
人員を総動員してギリギリな状態で現場を回しているのであれば、十分なスタッフがおらず余裕がないので、急なトラブルに対処しきれない危険があります。

やりがい、褒められること、自信が育つなど、いわゆる「綺麗ごと」の理想論しか語らない

介護だけでなく、「やりがい」は一般的なブラック企業の大好きな言葉です。
利用者に喜ばれるのがやりがい、笑顔が見られれば多くは望まない、などと語ってきますが、収入を得るために仕事をしているのですから、やりがいだけでは生活していけません。
世間では「やりがい搾取」などと揶揄されますが、ようするに「利用者様のために身を粉にして尽くしなさい、見返りを求めてはいけません」と言われているのと同じです。

理想を持つことは大事ですが、そのためのすり合わせや、改善策の検討を丸投げした思考放棄とも取れます。
利用者のためなら残業代もいらない、暴力を受けても良い、生活を犠牲にできる、といった人がいれば別ですが、そうでなければ綺麗な理想論には注意しなければなりません。

現場をこなしてきた人が感じる第一印象は大抵当たる

ある程度現場経験がある人であれば、現場を見たことがない人の話はすぐにわかります。
面接を受けているうち、「何かおかしいな」と感じる印象は大体当たりですので、その違和感を大事に持っておいてください。
後々の面接官の会話を聞きながら、その違和感と照らし合わせることで、「なるほど」とすべてが繋がることもあります。

コラム:本当にあった面接体験談

質問タイムで聞いておくべきこと

面接時に必ず設けられる質問タイムは、自分が受ける待遇を知ることはもちろん、ブラックかどうかを見抜く絶好のチャンスです。
唯一の機会なので、事前に自分が大事に思う質問事項をメモに書き出し、聞き忘れが無いようにしておきます。
もし聞き忘れてしまっても、内定連絡は電話の場合が多くありますので、その時に改めて聞いてみれば大丈夫です。
もちろん内定が出たあとでも、総合的に判断したうえで、こちらから辞退することは可能です。

求人ページに詳細な待遇面が載っていない場合

各手当の金額と種類

早・遅番手当、夜勤手当、皆勤手当、昇給などの細かな記載がない場合があります。
毎月の収入にも関わりますので、手当や金銭面に関してはきちんと明確にしておきましょう。
求人ページには参考給与額が載っていますが、大抵夜勤手当を含んだ金額であることがほとんどです。
そのため、明確な記載がされていない場合には、夜勤何回分を含んでいるのかも把握しておかなければなりません。

処遇改善手当の支払い方法

処遇改善手当の分配法は事業所に任されているため、スタッフに配布さえされていれば違法にはなりません。
ですが、ボーナス時に別途まとめて支払いなのか、毎月支払いなのかで退職時期までの収入が変わります。
実はブラックだったから早く辞めたい、といった場合に、ボーナス時にまとめて支払いであると、もったいないからと長く我慢しなければならないこともあります。
貰えなくてもいいから辞めたい、と思っても、本来もらえるべきお金が無いとなると、やはり悔しくなるものです。
オススメはやはり毎月支払いですが、近年はボーナス時に別途まとめて支払いの施設がほとんどです。

実際の人員体制

ここ1年ほどの離職率

1年ほどの間に、どのくらいの離職があったかを聞いてみてください。
ただし正直に答えるとは限らず、「そんなに多くないのでは」など、歯切れ悪く濁している場合は濃いめのグレー施設です。

きっぱりと明確な人数を出されても、それが正しいとは限りません。
ですが「こういう理由で」と離職された理由まで答えてもらえると安心です。
実際の離職理由を聞ければ、どんなところなのかという判断材料にもなります。

全体の残業率と残業代の取得率

どういった場合に残業があるのかはとても重要です。
夕食の時間にもよりますが、食事介助で遅れることはないのか、休憩は取れているかなど、イレギュラーが多い介護職は、残業の可能性もあちこちに転がっています。

ただし、「残業は(残業代として認めないので)ありません」という逃げ方をする面接官もいます。
その場合は、残業になりそうなときはどうしているのか、などを聞いてみてください。

残業をした場合、残業申請はどうしているのかも尋ねてみます。
施設によっては、上司の承認が無ければ残業申請ができないケースもあります。
上司の判断にゆだねられてしまうので、「この程度で残業代?頑張れば時間内に終わったでしょ」と言われてしまえば何もできません。

残業代がなかなか認められないということは、就業に対する金銭面の対価を軽く見ていたり、現場がどれだけ大変であるかを把握してもらえなかったりということになります。
残業を申告すれば普通に通るのか、上司に認めてもらわなければならないのか、その辺りを詳しく確認しておいた方が確実です。

有給、育休、産休などの取得率

人材確保や働き方に対する考えの変化により、育休や産休はほぼ確実に取得できるようになっています。
しかし有給については、なかなか取得できないのが現状です。
問題なく取得できています、と断言する施設は少ないでしょうが、「人手はいないが取れるよう努力している」程度であれば問題はありません。

この場合でも、有給の申請方法を聞いておきます。
有給の理由を詳しく説明する必要があったり、内容によって認められなかったりといった場合は立派な違法行為です。

トラブルへの対策はしているか

対人サービスである以上、利用者とのトラブルは少なからず起こります。
起こさないことも大事なのですが、気にするべきはどう対策するかどうかです。
トラブルが起こっても丸投げされないかどうかを聞いておくのも、身を守るためには必要なのです。

暴言、乱暴行為が酷い利用者にはどんな対策をしているか

数十人規模の施設であれば、大抵1施設に1人は手が出る利用者がいるはずです。
特に認知症が進むと気性が荒くなる利用者も多く、不穏時に手を上げられた経験もあると思います。
対応する職員を考慮する、会議で取り上げる、ひどい場合は退去を視野に入れるなど、何かしらの対策をとっているようであれば問題はありません。

危険なのは、「利用者を理解して寄り添う」など、検討違いの返答が聞かれた場合です。
通常は乱暴行為などが見られた場合、何故そのような行為があるのかを話し合い、場合によっては薬の調整が必要なケースもあります。
介護士であれば上手く受け流す技術も大事ではありますが、「見守りを強化する、介護だから上手く対処してもらう、不穏にしないようにする」などは根本的な解決には繋がりません。

ここ最近で、“利用者から受けた”と報告された迷惑行為はあるか

こちらは参考程度に聞いておくと良いでしょう。
利用者から受ける迷惑行為にはいくつかあり、暴言・乱暴行為、セクハラ、多様な嫌がらせなどがありますが、実際に報告を受けたという前例が聞ければ、少なくとも報告を握りつぶされることはありません。
あけすけに教えてもらえることは少ないかもしれませんが、こちらが迷惑行為などに対する意識がある、と認識してもらうことはできます。

介護事故が起こった場合はどんな対処をしているか

どんなに注意していても、介護事故の可能性はゼロではありません。
ここで重要なのは、「起こさないか」ではなく、つど改善策を話し合っているか、責任をスタッフに押し付けないかを探ることです。

一般的な「ヒヤリハット報告書・事故報告書」を作成するのは当然ですが、報告書を作成して終わり、ではなく、きちんと定期的な会議などで取り上げているようであれば問題はありません。
しかし、「二度と起こさないよう厳重注意や指導をする」、などは要注意の可能性があります。

施設内見学はここを見よう

面接終了後に、施設内見学を勧めてくれることがありますので、その際はぜひ見せてもらってください。
もし勧められなかったとしても、こちらから申し出てみればほぼ対応してもらえます。
施設内見学には、自分がスムーズに業務をおこなえるか、どんなケアをしているかの情報が沢山詰まっています。

すれ違ったスタッフから挨拶があるか、印象は良いか

面接官は当然良い顔をしていますが、スタッフもそうとは限りません。
廊下などですれ違ったほんの一瞬でも、人間関係が垣間見えることがあります。
常に余裕がなければギスギスしていますし、日頃からお客様には笑顔で、など簡単な教育が行き届いていれば、向こうから明るく挨拶してもらえるのです。
実際に自分が一緒に業務をしていけそうかどうか、人間関係は重要な判断材料の1つになります。

漏れ聞こえてくるスタッフ同士の会話や仕事ぶり

面接中や施設内を見て回っていると、スタッフ同士の会話や仕事風景を直接見ることができます。
やたらに良く見せる必要はありませんが、スタッフの対応は日頃の余裕の無さからくる不機嫌も現れやすいものです。
見学者がいても平気で利用者の文句を言っていたり、だらだらと寄りかかったりしていないか、注意して見てみてください。

衛生面

衛生面が整っていないということは、そこまで手が回らないケースが多いのです。
最低限のケアをこなすのに必死で、基本である清潔保持ができないほど人手が無い場合があります。
もしくは、上司の指導が行き届いていないなどであれば、もはや現場はやりたい放題の動物園状態、なんてことも考えられます。
施設全体の匂い、利用者の服や車いすの汚れ、床、食べこぼしなどはないかを確認しておきます。
居室まで入れることは少ないですが、利用者のベッドにいつまでも便汚れが付着していた、なんてこともありました。

清掃専門のスタッフを配置している施設もあり、その場合はスタッフが合間を見て掃除をする、という忙しさは上手く分散されています。

事務所の雰囲気

現場業務でも、残業申請や有給の依頼など、事務所と関わる機会は多くあります。
そういった申請を出しやすいか、話しかけやすいかなど、事務所の雰囲気は重要です。
雰囲気が重く、言い出しづらそうな事務所だと、「たった15分の残業だし…」とつい逃げてしまいがちになります。

施設の形状、動線は良いか

介護では、食事や入浴介助を行う際の「誘導」も重要なポイントです。
ケアに必要な各設備とエレベーターの位置、スタッフはどうやって移動するのか、階段はあるのか、コール対応は全フロア行うのかなど、自分が実際に働いている姿をイメージしてみるのがコツです。
自分が職員として動きやすいか、誘導の際に無駄な動きがないかを、事前に確認することができます。

全フロアのコール対応をする場合、職員がエレベーターを待っていてトイレ介助が間に合わなかった、ということもあり、階段があるかどうかは重要なポイントです。
エレベーターが使えれば便利だと思いがちですが、待っている時間は意外と長く、階段の方が手早く済むこともあるのです。

夜勤者の仮眠休憩はどうしているのか

施設によっては、夜勤者の仮眠室が用意されていないこともあります。
そうなれば、ベッドがないのでザコ寝、もしくは短夜勤だと休憩らしい休憩が実質無い場合も考えられます。
夜勤者の仮眠休憩はどうしているのか、必ず確認しておきたいところです。

面接は自分も選ぶ意識を持って臨もう

介護業界は、基本的にどこも人手不足です。
面接を受けたら必ず入職しなければならない、ということはありませんので、どんどん複数の面接を受けて比較してください。
大事なのは、複数面接を受けることで、色々な対応を受けて経験をすることです。

表面上を取り繕う施設がほとんどですが、大抵ブラック施設の場合は、端々に小さなボロが出ています。
沢山の面接を経験することで、そういった小さな違和感を見逃さないようにすることが大切なのです。

退職日が決まっていたり、既に辞めてしまったりといった場合は、生活があるからと入職を焦りがちです。
小さな違和感を無視してなあなあで入職してしまうと、ブラック施設が判明しても、すぐに退職するのは難しくなります。
耐えきれず半端に辞めてしまえば、余計に生活も苦しくなるのです。

それらのリスクを回避するためにも、介護の面接は、常に「自分が選ぶ立場である」という意識を持って挑んでください。
もしも自分1人では不安、というようであれば、無料で相談できる転職エージェントを利用してみると安心です。
避けるべき基準を自分の中に定め、良い転職ができるよう心がけましょう。

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