訪問介護管理者の仕事内容とは?

あなたは訪問介護管理者に対して、どんな印象を持っているでしょうか。
中には「楽そうでいいな」、「いつも座っているけど何をしているんだろう」といった印象をもつ人が多いのではないでしょうか。
今回はちょっと謎の多い管理者を深堀し、「訪問介護管理者」の仕事内容や裏事情をご紹介します。
施設により体制や業務内容は変わりますので、あくまで1つのケースとして参考にしてみてください。

この記事を書いた人

(仮)

そもそも何をする人?

訪問介護管理者とは、訪問介護部門における管理者のことです。
訪問介護に関する管理者なので、それとは別に「施設長」がいる施設が多いでしょう。

介護保険関係を任されているのは主にサ責で、訪問介護管理者は「訪問介護全体の責任と、業務管理の一元化」を責務としています。
一元化とは、スタッフの業務や判断をする際の大元です。
資格に関係なく介護未経験でもなれるため、極端に言えばマネジメントができて責任さえ取れれば誰でもなれるのです。
現実的ではありませんが、その辺にいる人でもなれます。

自宅へ伺うタイプの訪問介護事業所のほか、有料老人ホーム、サ高住などの訪問介護を扱っている施設に配置されています。

訪問介護管理者の仕事とは

訪問介護におけるスタッフや運営のマネジメント

スタッフの定期的な面談や、採用面接などをおこないます。
採用面接は施設によって、施設長がおこなったり判断基準があったりとやや異なります。

面接に来る人が全て常識的な人とは限りません。
初めから足を組んで横柄な態度をとる人、渡した名刺を手で折って遊びながら面接を受ける人など、目を疑うような人も沢山くるのです。
そういった人はわかりやすいので助かりますが、中には入社後に人柄が急変する人もいます。
1度入社してしまったら、後から「辞めてください」とは言えません。
求職者だけでなく、面接をする側としてもとても緊張する時間です。

スタッフ面談は、各スタッフに応じて成長過程、目標などを聞き取り、改善点などを話し合う必要があります。
しかし数か月~半年など定期的に行うため、正直お互いに話すことがなく、業務連絡のような数分で終了することも多いでしょう。

運営については、施設により営業や見学対応を任されていることがあります。
見学者に響くようなセールストーク、コミュニケーションが必要とされ、空室が目立つようになれば上層部からせっつかれることもあるでしょう。

電話対応や利益予想、売上報告書などの事務作業

こちらも施設によって内容は変わりますが、事務作業が大幅に増えるのは間違いありません。
管理者となれば報告書の類が大量に増え、1つ片付けたらまたすぐに次の締め切りが…という状態が毎週続きます。
きちんと業務を行っている管理者であれば、書類作業に追われなかなか定時では帰れません。

電話対応は事務専門の人がいれば分散することができますが、問い合わせや判断を必要とする電話などは、管理者に取り次がなければなりません。
ちょくちょく電話がくれば、仕事が更に進まなくなることも。

クレーム対応

管理者とは責任を取る人でもあるので、クレームがあれば対応しなければなりません。
中には部下に任せて自分は一切出ない、という管理者もいるでしょうが、大抵のクレームは「責任者を出せ」と迫るので、結局は出ていかざるを得ません。
嫌でもクレーム対策を学べる場面です。

自治体が定期的に開催している集団指導講習会などへの出席

介護に関わる管理者を対象に、市町村が「集団指導講習会」などを開催していることがあります。
基本的に該当する管理者は例外なく出席しなければならず、欠席の場合は「ちゃんと運営しているのか」と目をつけられる危険があります。
会館などのホールに集まり、主に防火管理や介護保険に関する説明、救急救命などに関する説明などを聞くだけなので、自分たちが何かをすることはありません。

利用者申し込み時の面談など

入居したいと申し込みがあったときは、その利用者本人の状態を確認するため、面談に行く必要があります。
問題がありそうかどうか、身体的に自分の施設で受け入れられそうかなどを判断します。
ここで適当に誰でも入居させてしまうと、現場の負担が増し、管理者への批判も増すことになるでしょう。
私が勤めていた当時は、施設長が行っていたこともあります。

実施した介護サービスの報酬を報告する請求作業(サ責と分担している場合はこの限りではない)

介護サービスをおこなったら、報酬(売り上げ)をもらうため、国に対し「レセプト」という請求作業をします。
レセプトの締め切りが毎月10日必着なので、月末~月初の事務所は毎月戦争状態です。
大量にある実施記録と利用者ごとの提供表を見比べ、抜けはないか、未実施のところは省いてあるかを全て確認しなければなりません。

実施記録を紙で行っている施設はまだまだ多く、その分手間も大幅に増えます。
必須である指サックは数か月で擦り切れてしまうほど。
サ責と業務分担ができる環境であれば軽減できますが、サ責と兼務していた私の場合、泊まり込みになることもありました。

ミニコラム

介護保険とレセプト

介護・医療保険は、利用者の支払い負担が1割~3割で設定され、残りの金額は国が事業所へ支払っています。
介護・医療保険は単位制であり、介護であれば利用者の介護度によって使える単位数が決められています。
決められた単位数以上のケアをしてほしければ、以降は自費サービスで全額自腹になる、といった具合です。

介護や医療保険では、ケア内容によって必要な単位数が決められているので、事業所は月末に全てを計算し「この人はいくつ単位数を使いました、その分のお金をください」と申請します。
地域差はありますが、1単位=約10円で計算されます。

確認などに使われる「提供表」は、利用者がいつどんなケアを提供されるかを一覧にしたものです。
ケアマネが毎月作成しますが、変更されたケアを反映せず誤った状態で送ってくる人もおり、やはり確認は必須になります。

もし未実施のケアを「実施しました」と請求したまま放置してしまえば虚偽の申告とされ、間違えました、では済まなくなるのです。
ですから、毎月何百枚と積もった書類を丁寧に確認しながら、各施設で使用している請求ソフトに打ち込んでいかなければなりません。
この介護事業所の請求ととケアマネ側の請求金額が一致して、初めて報酬(売り上げ)をもらうことができます。
この作業は間違えてしまえば後が大変なため、介護事業所でもっとも面倒な業務の1つです。

気になる訪問介護管理者の給与面は?

やはり管理者なので、全体的に給与や待遇面は高いところが多いでしょう。
そのため、夜勤などの手当てに頼らなくても、現場スタッフのときより多くの月収を得ることができます。

月額21万円から30万円前後になる求人もありますが、経験年数はどのくらいか、過去の経験談などを聞いたうえで、対応できるスキルによって増減されます。
ですが、よほど数年などの長い経験がなければ、大体の場合は初期設定の待遇からであることが多いでしょう。

管理者の夜勤や手当に関しては施設によって違うので、求人ページで確認するか、面接時に待遇面での質問をしてみると良いでしょう。
お金の質問はしづらい、という声もありますが、そういった待遇面での質問で悪印象になることはありません。

それでも「やっぱり自分では聞きづらい」という人は、無料で利用できる介護専門の転職エージェントに相談してみるのも良いでしょう。
待遇面の確認だけでなく交渉もしてくれます。

訪問介護管理者の良い点悪い点

私が訪問介護管理者を実際に体験してきた中で、大変なこと・良かったことはそれぞれ沢山あります。
どの仕事にも大変なことはありますが、特に管理者として感じたことをご紹介します。

【大変な点】

  • 急な現場の穴埋めをしなければならないケースが多い
  • サ責と兼務していたので、業務量が非常に増え、残業も増えた。
  • 自分で考えて対処できるスタッフは少なく、「とりあえず上司を呼ぶ」「とりあえず何とかしてもらいたい」で呼ばれることが多い。
  • シフト作成をするが、休み希望などが入り組んでいるとなかなか組めなくなる。曜日の決まっていないパートさんが複数いるだけでうまく組めなくなる。
  • スタッフや上司のシフト優先になるため、現場が薄すぎる場合は自分も現場に入ることもあり、自分の休みが取りづらい。(大抵の場合1人は必ず責任者がいなければならないため)
  • 責任者なので不平不満・クレームを一身に浴びやすく、頭を抱えることもある。
  • 勤務時間外や休日でも職員の質問、利用者の不調などで電話連絡が沢山あり休めない。看護師を常駐していない施設では、夜間のオンコールがくることもある。
  • スタッフとの溝ができやすい。

などなど、挙げ始めればキリがなくなるほど。

スタッフにはできれば自身で考えて動いてもらいたいのですが、やはりそうもいきません。
「勝手に動け」ということではなく、適切な報告と指示を仰ぐ、必要に応じて自分で動く、ということができる人はそうそういません。
大抵はどんなに些細なことでも上司を呼ぶか、現場経験を過信して自分勝手に動くかの両極端であることが多いのです。

すぐに上司を呼ぶタイプのスタッフは、「とりあえずこの場を納めてください」と丸投げして消えることも多く、いつも良く分からないまま駆り出される自分は困惑するばかりでした。
大抵の場合は、自分でなくても良いケースがほとんどです。

一方で、自分勝手に動いてしまう人は、最終的に利用者の行動をも決めようとします。
あの人は勝手に決めるから嫌だ、と利用者からNGが出てしまった人もいました。
そうなればますますシフトは組みづらくなり、他の事務仕事もあるため、家へ持ち帰って作成しなければならないことが多くなりました。
家が近いこともあり、休みの日でも無給で仕事をしに行くといったことも日常です。

例え休日であろうと指示を仰ぐ連絡が来るのも、管理者の悩みです。
利用者が施設から出て行ってしまった、ケガをした、倒れて救急搬送をしなければならないなど、看護師が24時間配置されていない施設では、夜中であっても電話が鳴ることも少なくありません。
どんなに熟睡していても、電話が鳴れば一発で目覚める癖がついてしまい、私は今でも着信音が少し怖いです。

ここまで悪いことばかりを挙げてきましたが、もちろん悪いことばかりではありません。良いことも沢山あったからこそ、管理者を続けることもできたのです。

【良い点】

  • 自分が指示を出す側になるので、自分の考えを元に動ける。
  • 必死に夜勤をやらなくても給与が高く貯金に回す分が増えた。
  • 自分で調べながら行政への対応をしていくうち、知識と理解が深まった。
  • きちんと対応していれば、ご家族からの信頼を得られる。
  • 施設によっては見学対応や営業もやるので、介護以外のスキルを磨くこともできる。
  • あまりに暴言・暴力や迷惑行為が酷い利用者への対応を決めることができる。

などなど、得るものが多かったのも事実です。

まずその後の生活で役に立ったのは、沢山のスキルが得られたことでしょう。
見学対応や営業もやらせてもらったおかげで、セールストークのコツや、コミュニケーションとしての会話術なども磨くことができました。
事務作業をしていたおかげで、エクセルもある程度使いこなせるようになりました。
嫌でも介護保険について学ばなければならないため、知識や理解が深まったのも、その後の生活で大きく役立っています。
ほぼずっと介護職を続けていましたが、そのときの経験や知識は、今ではライターというキャリアチェンジの手助けにもなっています。

利用者の中には暴力的な人もいるでしょう。
現場のみで働いていたときは、ひたすら我慢するしかありませんでした。
ですが、管理者という立場であれば、これ以上いけば退去も検討してもらう、というラインを決めることができるのです。
もちろん完全な決定権ではなく、上司へ直訴する手段ができた、ということです。

管理者は基本的に事務作業がメインとなるため、現場を駆けずり回ることがなくなり、体力的にもやや楽にはなりました。
兼務で業務量を詰め込むような職場でなければ、もっと心身ともに安定していたでしょう。

何より1番嬉しかったのは、貯金に回すお金が増えたことと、利用者の家族から信頼を得られたときです。
並べるようなことではないかもしれませんが、仕事をして金銭を得ているのですから、やはり収入面は大きなポイントです。

利用者の家族からは、大小問わず相談をしてもらえるまでになりました。
そうすると、スタッフに関する相談も耳に入るようになるため、自分でも見えなかったマネジメント材料を知ることができます。
家族からの信頼を得られることで、自分への自信にもつながっていきました。

訪問介護管理者に大事なポイントとは

訪問介護管理者は、身もふたもなく言えば誰にでもなれるものです。
しかし、「ちゃんとした管理者」であるためには、いくつかのコツが必要になります。

  • スタッフや利用者が不便に思っていることはないか良く観察し、ときには自分から提案する(物品購入なども)
  • 現場を良く見る。管理者が現場に入る事は少ないが、その分施設であれば定期的に施設内を回り、利用者とも関わる。
  • 家族が面会に来た際、事務所から出て自分から日頃の様子などを伝え関係を作る。この人なら大丈夫、という安心と信頼を持ってもらう。
  • いつ質問、相談されても良いように、介護保険への知識は常に育てておく。
  • 厚生労働省のホームページを定期的にチェックし、頻繁な変更点にすぐ対応できるようにする。

管理者は、現場から見れば「いつも座って楽してる人」と思われやすい立場です。
ともすれば「何も知らないくせに」と反抗心を向けられやすく、どうせわからないから、と舐められてしまうことにもなります。
自分が堂々と意見できるようにするためにも、現場を定期的に見て回ることが重要です。ときには、さぼっているスタッフを見つけることもできます。

家族からの印象は、介護施設で唯一の「客観的視線」です。
少しでもおかしい、と思われてしまえば一瞬で不信感へつながり、管理者への不信感はスタッフへ相談という形で伝わります。
不信感は広がりやすく、スタッフ全体の士気にも影響するでしょう。
家族が来訪した際には、一目で誰の家族かわかるか、利用者の日頃の様子を伝えられるかで印象は違います。
利用者も家族も、「ちゃんと個人を見てくれている」という印象に弱いものです。

これは管理者だけでなく、現場スタッフであっても応用することができます。
家族から上司へ伝わる評価は大きいので、家族を見かけたら積極的に話しかけていきましょう。
関係性があれば、多少の失敗は笑って許してもらえます。

また、介護制度はころころ変わりやすいものです。
いつ誰から質問されてもいいように、流し読みでも良いので、厚生労働省のホームページをチェックしておく必要があります。

訪問介護管理者は転職にどう有利?

1度訪問介護管理者まで経験していれば、面接官の信頼と印象はぐっと良くなるでしょう。
それまでの現場経験に加え、管理者経験から「良さそうな人が来た」と思ってもらえるので、よほどのことが無ければまず内定はもらえます。
「ちょっと疲れたから、難しいことを考えないですむ現場に戻りたい」という場合でも、転職先に困ることはないのです。

また、訪問介護管理者としての経験が長いほど、施設長へのステップアップも視野に入れることができます。
施設長や管理者は、マネジメントと責任を負う必要があるため、経験による高い信用がなければ採用してもらえません。
特に問題もなく管理者としてやってきたということは、マネジメント力にも期待できるため、アピールもしやすくなります。

初めての訪問介護管理者にオススメの施設

初めて訪問介護管理者を目指すなら、有料老人ホームやサ高住などの施設がオススメです。
スタッフも利用者も含め全体が把握しやすく、利用者の自宅を飛び回らなくても済むためです。
また、訪問介護管理者のほかに、施設長がいる施設であれば、業務で何かがあったとき質問がしやすいでしょう。

沢山ある施設を比較し、じっくりと選びましょう。

コメント一覧

この記事へのコメントはありません。

コメントする